アトランタ3日目

睡眠時間4時間で深夜12時に目が覚めてから、結局眠ることなく朝を迎えた。午前6時ごろに水のストックが減ってきたためホテル唯一の自動販売機に向かった。

やっぱり日本とは全くスタイルが違う上に、札は一ドル札しか受け付けないという殿様仕様である。外国人は日本人が信頼に足らない自動販売機に大枚を突っ込んでいることについてとても驚くというが、1ドル札しか受け付けないというのも相当である。あと1セントコインが戻ってくるのは日本と同じ。ラインナップは8種類。

僕が知らなかったのはDASANI(水)、Pibb Xtra(ドクペの類似品/チェリーフレーバー)、VAULT(売り切れで買ってないのでわからない)の3つだった。飛行機でもコーラだったし、ここでもコーラで、しかもこの日はワールドオブコカコーラというコカコーラの殿堂に行ったため、もう僕の体はコカコーラ漬けになっているという事実を認めざるを得なかった。
そのあと7時に朝食を食べに行った。昨日の朝に死ぬほどクラブハウスサンドを食べさせられて昼もろくに食べられなかった経験がトラウマとなっていたため、バフェットを選択した。要するにバイキングである。主食の選択肢は芋、ベーコン、ソーセージ、フレンチトースト、ポーチドエッグとハムが乗ったマフィンの5種類で、昨日食べたベーコンを除いて全て取ってみた。これに無限コーヒーと無限オレンジジュースがくっついて12.5ドルだったが、そもそもコップがでかすぎるためにそれぞれ一杯ずつ飲んだらギブアップである。

味付けはやっぱりすごくしっかりしており、特にポーチドエッグの具合が非常に良かった。しっかりしたレストランだということを再認識させられる。

次にデザートを取りに行った。僕が取らなかったのはこぶし大のりんご、バナナ、そして2種類のブドウである。それぞれカットせず、そのまま置いてあるのでボリュームがありすぎたためであり、カットしてあったフルーツは全て取った。

問題はこれである。

これは多分チーズ的ななにかだったと思うのだが、おそるおそる口にしてみると食感はふにゃふにゃのチーズみたいな感じで、甘くもしょっぱくもなく、微妙な酸味が襲ってきたので一瞬吐き出しそうになった。フルーツと一緒に食べると後ろに引っ込んでくれるので特に害はないのだが、そうなると逆になんのために食べているのかという感じである。もしこの謎の食品についてご存じの方がいらっしゃれば教えてください。話によれば牛乳にレモン汁を入れて火にかけるというだいぶ適当感のある作り方でできるカッテージチーズとかリコッタチーズだとかいう食べ物らしいです。
日本でこの量の朝食を食べたらもうそれはそれは大満足だと思うのだが、これまでの衝撃の食事の数々によって胃袋が拡張されつくした僕にとってこの程度の量は全く問題になっていなかった。日本に帰ってから質素な食事に戻れるかどうか本当に不安である。

さて、食事のあとは観光である。アトランタ最大のアトラクションであるザ・ワールドオブコカコーラが徒歩20分くらいの場所にあるというので道を覚えて歩いた。20分くらいしたら遠くに看板が見えてきた。

関係ないけど、紅葉が終わった感じがとても日本に似ていて親近感を感じる。

この写真の右端に見えるビルがワールドオブコカコーラで、それ以外はアトランタダウンタウン、中心街の高層ビル群である。ここ以外にはあまり高いビルはない。

開場10分前に到着。前売りチケットを買った客はたくさん並んでいたが、当日券を買うのは僕だけだった。

とてつもない疎外感を感じつつ10分間寒空の下で待機して、15ドルのチケットを購入した。なぜかこの画像は90度回転させてアップロードしても回転前の状態で表示されてしまう。

中に入るとコカコーラによる洗脳が始まる。最初にコカコーラがいかにして世界に広まったのかというレクチャーを受け、次にコーラを賛美する内容の映像を10分間ほど見せられる。それが終わるとコカコーラの白熊との写真撮影会が待ち構えており、ここまででも非常に疲れる。しかしこれからが本番で、無限広告地獄と無限製品紹介を長々と見せつけられた。いや、楽しかったですよ。この無限回廊を抜けると次は「コーラのレシピの謎に迫る!」っていう4Dアトラクションが僕たちを待ち受けていた。

世界でも詳細なレシピを知る人はほとんどいないといわれるコカコーラの調合について探る内容を3Dメガネで見る+椅子が動く=4D!っていうことらしいので乗ってみたが、椅子が動くというよりは完全に嫌がらせのテンションでガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ椅子が動いた。椅子をゆっくり動かすという文化はなく、ひたすらガタガタしていた。3Dメガネは紙であるからして椅子が揺れるたびにめちゃくちゃにずり落ちてひどいことになった。ちなみにストーリーは世界中をガタガタまわったあげく「レシピは…わからなかった!コーラのおいしさ…その本当の答えは君の中にある!」っていう最低のもので、バカみたいに揺れる椅子の上でずり落ちゆく3Dメガネをかけながらくだらない物語を聞かされるのがあまりに滑稽で爆笑してしまった。
次に世界のコカコーラのCMをひたすら30分かけて見させられて、ある種のストレスが限界に達した瞬間に世界のコカコーラ商品の試飲コーナーが僕を迎え入れてくれた。

僕はここに展示されていた50種類の飲料を全て試飲したが、ジャケが一番アシッドだったのはこれ。タンテらしき物体がナナメに配置されている上にヘッドホンではなくてヘッドセットである。DJキウイマンゴーは誰と会話をしてるのだろうか。個人的には、50種類の炭酸飲料を飲む作業は心を無にする修行として全世界に売り出せると思う。ちなみに全部飲み終わったあとに出たゲップは本当にゲロの味で最低の気分になった。さて、コカコーラの歴史もわかった。広告とCMも見た。味も確かめた。次に残るものはなんであろうか。そう、おみやげである。
正直なところアトランタというのは何もない街で、僕が小学校の時にアトランタに行った友達からもらったおみやげが「アトランタの土が入ったキーホルダー」であったことからして、今回の旅行のお土産はもうほぼ全てコーラにしてしまっていいのではないかという思惑があったためにこのお土産コーナーには相当期待していた。こちらが戦利品である。

誰にあげるかもろくに考えず、存在がハードミニマルだと思った製品をひたすらかごに入れた。レジに行くと南米っぽい顔つきの店員どこから来たの?と聞かれ、日本だと答えると「あー俺も日本人なんすわー」といきなり激普通の日本語をかまされたのが今日のパンチラインだった。話を聞くと彼はブラジル生まれ東京育ち、中高は徳島で今はアトランタという破天荒すぎる人生を送ってきたハーフの青年だった。
そんな出会いを経てワールドオブコカコーラをあとにし、今度はダウンタウンへと移動した。ダウンタウンにはundergroundという最低のネーミングの地下街があり、ここで昼飯を食べることにした。undergroundの最低っぷりを日本的に言い表すとすれば、渋谷の地下街が「しぶちか」ではなくて「地下」という名前だったときにどんな気持ちになるかを考えて欲しい。ちなみに、広島の地下街は広島シャレオと言うのだが、広島はもう少し頑張った方がいいと思う。
undergroundを5分ほど歩くとフードコート的な場所に出たので、その中に入っていたフライドチキンを食べることにした。さすがに3日目ともなると会話もかなりできるようになっていて嬉しかった。

これが$3.99、税込みでほぼ$5だった。2ピースの鶏肉はケンタッキーの大きさと大差なく、やっぱり見た目は大したことないと思うんだけど、食べてみるとなぜか腹が膨れる。原因は芋であろうか。この旅行での真の敵は肉ではなく芋なんじゃないかと思うようになってきた。サラダについているドレッシングはブルーチーズ。アメリカではブルーチーズドレッシングは案外メジャーだったようだ。
昼飯を食べたらだいぶ疲れがたまったので地下鉄でホテルまで戻った。駅の近くにam/pmがあり、そろそろミンティアもなくなるのでフリスクでも買おうと思ったら店員がフリスクを知らないレベルでミントタブレットがなく、必死にミンティアが大好きな旨を伝えたらこの商品を紹介してくれたので買った。が、開けてみると何かが違う。

これは、青いじんましんである。

味もいかにもアメリカっぽい微妙な味で、ちょっと完食には時間がかかりそうである。
午後2時にホテルに戻り、時差ボケからくるひどい眠気に負けて3時に昼寝をはじめ、起きたら6時だった。6時からの夕食はほとんど食べずに9時にふたたび就寝したら、翌朝の6時まで目が覚めなかった。要するに、3+9で12時間も寝ていたことになる。