あらすじ

ジェイクは昔、体育会系の部活に所属していた肉体派の青年である。彼はある日、知人の薦めにより全く興味のないネットゲーム「AVATAR」に半分強制的に登録をさせられた。このゲームはひとつのサーバに数十人程度のハーフエルフ(人間とエルフのハーフ)のPC(Player Character)と、非常に高度なAIを搭載した多くのエルフのNPC(Non-Player Character)が存在する世界を舞台としている。
ゲームに初めてのログインを果たしたジェイクはAVATARのあまりの自由度にたちまち引き込まれ、早々に現実世界での約束をすっぽかしてしまう。現実の友人達はそんなジェイクを現実に引き戻そうとするが、AVATARにはまっている他のNPC達は彼を擁護し、本人もゲームの素晴らしさを知る多くのプレイヤ達と過ごすのが心地よくてたまらなかった。
ある日ジェイクはPTを組んで危険な森を冒険している間に仲間達とはぐれ、レベルに見合わないソロでの行動を余儀なくされてしまう。夜、高LV狩場で彼はひとり木の槍を持って襲いかかってくるモンスター達に対抗したが、沸きが激しすぎて対処ができず、多くの敵にBOXを食らってしまい瀕死に陥る。
そこに女エルフのNPCが現れ、ジェイクは彼女の誘いによりNPCの集まる集落に連れて行かれた。PTを組んでいた仲間達はハーフエルフの街からエルフの集落への道中があまりに危険なために助けに行けず、彼も集落から単独で戻ることができないため、何度かログインとログアウトを繰り返しながらそこでの生活を楽しんだ。
この頃からジェイクは多くのクエストをこなしレベルも上がり、強力な戦力となるペットも手懐けたりとAVATARの世界にすっかりはまってしまったため現実にいる時間よりもAVATARをプレイする時間のほうが長くなってしまった。ついには仲間との冒険の迷惑になると言いだし、風呂にも入らず、ログアウトするのは食事をかっ込むほんの数十分というただれた現実生活を送るようになる。
現実の友人達はそんなジェイクををどうにか連れ戻そうと、強制的に回線を切断するなどの策を凝らした多くの嫌がらせをした。しかし、彼は切断落ちをして動かなくなってしまったAVATAR内のPCを必死に守ってくれたエルフ達にますます共感をおぼえ、現実世界を嫌悪するようになり、さらに狩りを重ねてAVATARの最強プレイヤとなった。この頃彼は日記で、「もう俺はこの世界の住人なのかAVATARの住人なのかがわからない」と漏らしている。
友人達は最後の実力行使としてジェイクのPCを破壊しようとするが、彼は友人達を武器を使った攻撃をして自分の部屋から追い出し、その隙に自分の精神をAVATARの世界に送り込んだ。
ジェイクは、二度と現実世界には帰ってこなかったが、AVATARの世界で現実では味わえない楽しさに満ちあふれた幸せな一生を送った。
おわり